今まで監査法人勤務のみの職歴で、監査法人の仕事がしんどくなってきた、新しいことに挑戦したい、ということから転職活動をしようと考える人は多いです。
監査法人をやめて転職する際には不安がつきものだと思いますが、意外とその時に見落としがちな観点は、本当に後悔しないか、ということだと思っています。
不安については、営業ができるだろうか、税務などのテクニカルな部分で全然たりていないんじゃないだろうか、一般事業会社で本当にやっていることを知らないので何もできないのではないだろうか、会社にフィットするだろうか、というような点だと思います。
後悔は転職した後に出てくる、「~~しておけばよかった」「~~しなければよかった」という後出し的に出てくるものですが、実際の体験談として、何を後悔したのかということを記事にします。
会計士が転職直後に後悔したこと4つ
監査法人を辞めた後のキャリアビジョンが不明瞭と気づく
転職先であるJPMCに出勤して1日目の午前10時半くらい、私の役割と当面のTaskを伝えられた後、Web研修をまず終わらせてくれと言われて、研修を進めていたころに、「ああ、やらかしたなぁ」と思ったわけです。もっと端的にいうと「何がしたいんだっけ」と改めて思って、「転職を早まった」と感じました。勤務開始2時間でした。
独立も想定しながら、などと言っていましたが、結局どうしていきたいという欲求が非常に低かったです。まじめにやったことがないのですが、大学生が初めて就職するときの就職活動で行う自己分析のようなものをやっていなかったというのが大きな後悔です。
辞めることを急いでいたあまり、独立するにしても、独立するまでに何をやって独立に役立てるという自分なりのミッションを立てるべきだったと思いますし、投資銀行の世界で生きていこうと思うのであれば、腹をくくって貪欲にそのためのことをやるというところを明確にするべきでした。
どちらかというと、後者の投資銀行で生きていくという方向に舵を切るつもりではあったのですが、どこかしら独立シナリオが生き残っていたというのが中途半端でした。
後は何より、監査が好きだったこともあり、監査を辞めて何をしたいというのが本当にイメージできていませんでした。
転職先の業務内容を理解していないことに気づく
正直、自分が何するかほとんど把握していませんでした。当初の仕事は社内業務改善コンサルのノリでやっていて楽しいものも多かったのですが、どうしようもないレベルで単なる作業者としてやらなくてはいけないことをやらされることになり始めると、ほんとうに嫌になってしまいました。これは完全に自分の業務内容の射程がかなりの作業者感があるものも含まれているということを理解していなかったことによる問題なので、この点は本当に後悔しました。
期待値として、作業みたいになっている部分の社内業務改善をやってくれという思いもあったのかなぁとは思います(部門の上の方は本当に尊敬していたので、バイアスがかかっています)。
申しわけないが、いろんな人から業績の結果をE-mailで聞いて回って、月次のの資料を第2営業日の昼までに固める、数字があっているかどうかは部門の責任で、経理はアンケート集計するだけ、みたいな仕事が含まれているとは思わなかった。
これは面接の能力の問題だと、今は理解しています。面接を受ける側も、自分がやる可能性のある仕事というのを、細かく聞き出していいと思います。特にオファーが確定した後に、オファーを受けた場合に、自分に関係するRoles and Responsibilitiesは何なのか、可能性として追加されるものは何なのか、というのを明確化してもらって、本当に自分の意図とフィットしているのかを再確認するのが理想的だと思います。
能力と地位があっていない人から逃げられないことに気づく
私を採用してくれた方と、部門の上のほうの上司は優秀だし、尊敬できたのですが、面接の際にあっていなかった人が私の上のManagerのポジションに入ってきてしまい、申し訳ないが、尊敬できるレベルの人ではないという事故が起きました。
あんまり言っても仕方ないし、後悔しても仕方ないのですが、転職エージェントを通じて、自分がエントリーしている部門の離職率と、どのような人がいるのか、既に過去にエージェントが送り込んだ人経由でちゃんと聞かせてもらうようにお願いするべきだったと思っています。
給料は絶対に下げてはいけないことに気づく
これは監査法人から転職するときではなくて、2回目の転職の時に気づいたことですが、給料は下げてはいけません。ものすごく当たり前のことですが、妥協してしまったことをめちゃくちゃ後悔します。
一回下がった給与水準はなかなか戻らないと思っておきましょう。特に独立をシナリオとして考えていないのであれば、絶対に給料が下がる転職はしたら駄目です。
まとめ
実は自分が後悔している項目というのは、じっくりと時間をかけて転職活動をすれば、どれも避けられることだったと思います。
特に最初のキャリアプランをしっかりと考えるということができていなかったことが、その他の後悔の原因になっていると思っています。これは、大学4年生の時に普通の転職活動をまじめにやっていなかったせいにするわけではないですが、「自己分析」を20代前半でやるのではなく、20代後半から30代になってもきっちりとやっておくということが大事なのだと思います。
今は、この後悔をしてしまったことを糧として、その点をビジネスとして運営します。会計士・税理士向けのキャリアコーチングをプロコーチとして提供し、少しでも若手の会計士・税理士の力になれればと思います。