コンサルティングの文脈で話をしたり、分析したりすることに慣れている中で、コーチングのトレーニングをしていて、その違いにフォーカスすると、相乗効果を狙えることがあります。コーチングもコンサルティングもクライアントをサポートするという目的は同じなので、両方を理解して使い分けることができることはとても重要になります。
会計事務所としての仕事でも両方のマインドでサービスを提供することができます。
コンサルティングのアプローチ
コンサルティングは現在の問題の分析からスタートします。まず必要なのは、現在の問題が起きる原因となる、事実を把握することとなります。事実を把握した上、分析し、これを解きほぐして、クライアントの目標達成のためのソリューションを考案して、クライアントに提供することになります。
コンサルタントは現在の問題=課題の本当の原因=真因を必ず探った上で、真因を克服する課題に対する解決策をクライアントのために考えて、結果としてクライアントの目標を達成させることになります。
このため、課題を取り巻く過去から現在の事実を網羅的に把握しようとします。
コーチングの基本的なアプローチ
コーチングについては再学習中で、私なりの理解です。
コーチングではクライアントが将来どうなりたいかをクライアント自身が表明することからスタートします。コーチが掘り下げて具体化させていくのは、まずは、そのありたい姿の何がクライアントをワクワクさせることなのか、いつ頃までに達成したいと思っているのかといったことをクライアントに表明していってもらって、何をやればそこに行けると思うのか、何がやっていきたいのか、ということも原則的にはクライアントの考えを引き出していくアプローチになります。
その中で、コーチが導くことで、あれをやってみよう、これをやってみようというアプローチが考えられていくわけで、場合によって、コーチがそのネタとなるものを提供する可能性がある、というものだと理解しています。
コーチは現在の問題=課題にフォーカスするのではなく、将来どうなりたいかや何ができるか、何をやるとHappyだと感じるのかというところにフォーカスしていると言えます。。
課題に対するコンサルティングとコーチングのアプローチの違い
コンサルタントとしてコンサルティングをする上でもブレーンストーミングとして、解決策をクライアントにも考えてもらいますので、その点で、クライアントが考えないわけではないと思います。
決定的な違いはフォーカスの仕方だと思います。
コンサルティングにおいては、過去の事実から未来のあるべき姿へ向かうために何をやるかを考えるが、コーチングでは未来のありたい姿から何をやるかを考える。
コンサルティングにおいては、コンサルタントが解決策を考えるが、コーチングではクライアントが解決策を自ら気づく。
会計士や税理士といった専門職の仕事はやはり、コンサルティング寄りであり、それを求めてお客様にご依頼していただけるものだとわかります。例えば、銀行が必要とする資料などは、過去が明確に分析されていることが要件とされています。その意味では、コンサルティング的なアプローチは必須の事項になります。
会計士・税理士としてコーチングを行うことの意義
特に経営層に対して会計士・税理士としてコーチングを行うことの意義は、コンサルティングや顧問を行うことに付随している部分があると思います。
しかし、コーチング的なアプローチを徹底して経営者のコーチとして活動する場合には、明確にマインドセットを変えたサービスを行う必要があると思います。そのためには、十分な時間を確保する必要もあるでしょう。
また、経営者の中には、コンサルティング的なサービスだけを欲している方も多いはずです。
このような人にコーチング的なアプローチでのサービスを展開するのは、サービスとしてずれたことになるでしょう。
その意味では、コンサルティングとまったく別のサービスとして経営者向けのコーチングサービスはあるべきと考えています。コンサルティング的なサービスを行うクライアントだとしても、切り分けて考えて頂く必要があるし、切り分けてサービスができる、会計・税務の専門職であり、プロコーチとしての実力が必要です。
まとめ
なんちゃってではなく、ちゃんとしたコーチングはすごく強い力を持っていると確信しています。コーチングをきっちりと生かせれば、経営者が幸せになり、結果として会社全体が幸せになるチャンスが増えると考えています。
既に先達もいらっしゃるとは思いますが、コンサルティングとコーチングの双方のアプローチの違いを生かして、両方のサービスを適切に提供することこそが、私の強みであると、皆さまから言われるように精進する次第です。