設立1年目の会社にアドバイザリーで入っている中で、消費税還付の議論がでてきました。
資本金は第1期の途中で増資していたので、第2期からは課税業者になることが確定している環境でした。第1期が還付を受けられるのであれば、第2期以降の免税メリットを考慮する必要がないので、還付を受けられる状況であれば、課税業者の選択をするのが当然に合理的という状況でした。
決算月ぎりぎりで話をしていたのですが、第1期の決算数値見込みを作成する中で、突然消費税還付の仕訳について迷ってしまったので、この記事を書いておきます。
税抜経理の時の消費税還付仕訳
税抜き100円の消耗品を税込110円で買って、売上はない(課税売上割合などはここでは無視しています)会社をモデルにします。
税抜期中仕訳
消耗品費 100 / 現金 110
仮払消費税 10
消費税還付期末仕訳(税抜経理)
未収消費税 10 / 仮払消費税 10
還付時仕訳
現金 10 / 未収消費税 10
すごく当たり前の仕訳なのですが、これに迷いました。原因はそれまで免税業者でいっているので、税務上の都合で税込経理にしていると思い込んでいたこともあると思います。
税込経理の時の消費税還付仕訳
モデルは先ほどと一緒。
税込期中仕訳
消耗品費 110 / 現金 110
消費還付期末仕訳(税込経理)
未収消費税 10 / 雑収入 10
還付時仕訳
現金 10 / 未収消費税 10
還付時は税抜経理でも税込経理でも同じですね。
税込経理をしている場合は、期末時に未収を立てていなかったから、還付時に現金 10 / 雑収入 10という仕訳になると思います。
仕訳の考え方
疑問に思うほどのことでもなかったのかもしれないのですけど、なぜこういう仕訳の迷ったのだろう、ということを結構まじめに考えました。
おそらくは、税金仕訳なので、何かややこしいことが起きるような気がする、という変な思い込みのせいだと思います。
結局、税抜経理の場合は、期中にPLにヒットさせていないのだから、期末の還付未収を立てるときにも、PLを通すことはなくて、逆に、税込経理の場合は期中に本体の勘定を通してPLにヒットしているから、期末の還付未収を立てるときもPL勘定を使って戻さないといけない、というすごくシンプルな話だということに、仕訳を確認してから改めて気づきました。
仕訳を考えるときは本質を考えればだいたいシンプルに表現できるということに改めて立ち返れました。
税理士としてのコミュニケーションに関する学び
この件では私はアドバイザリーで入っていて、税理士ではないのですが、税理士の方からは本件に関して、「課税業者選択をするのかどうか」という問い合わせだけでした。会社側は経理の人もいないので、何を聞かれているかもわからず、アドバイザーの私に質問してきたところで、還付を受けられるので得ですよという説明をするとともに、決算落着も作って、未収還付消費税の金額を出そうと思ったのがこの仕訳に関するストーリーのスタート地点でした。
専門家としては還付が受けられる、ということを伝えたかったのだと思いますが、「課税業者選択をするのかどうか」という問い合わせでは、まったく会社は税理士が何の話をし始めたのか理解できていませんでした。また、どれくらい還付というのもすぐにはでてこなかったことから、資金繰りのところでも少し迷っていました。
どこまでをサービスでやるのか、というのは税務実務では判断ではあるのだろうけども、少なくともクライアント目線はある程度持たないといけないということも、今回の件で再確認できました。
なお、自白すると、決算落着に還付分をPLヒットさせられると業績が上に言ったように見えるじゃないか、と私が思ってしまったのが、仕訳について迷いを生んだと思います。未熟者です。