私は独立後すぐにパートナーシップの形でユナイテッドグループを組成しました。独立するなら一人でやりたいというのも正解だと思いますし、私の場合は、税務に弱みを抱えていたので、その点の解消もあり、最初から仕事を加速させるためにパートナーシップを組成したものです。
パートナーシップで事業をする場合には、不仲などいろいろ原因があるにせよ、パートナーシップ解消に至るのが一番問題というのはわかっています。
そこで、ユナイテッドグループのパートナーシップを組成する際に考慮したことをシェアしようと思います。
まずは互いの尊敬ありき
最近一気に拡大している若手の会計事務所の中には人的関係がある程度希薄な人でもパートナー近い扱いで開始して、最初から規模を求めているところもあるようです。
私はこの形式もビジネスライクに仕組み作りをしている前提があれば全然OKだと思います。また、そのようなファームに加入することもありだと思います。
ようは自分がパートナーとしてファームに提供できる価値があると判断されれるだけのものを持ち込めばよくて、そのビジネスを拡大させるために、ファームを使うというWin-Win関係が成り立つはずだからです。それは一つの独立の形だと思います。
ユナイテッドの場合は、もともと監査法人を作るという構想があったので(私が結構こだわっていました)、5人の会計士がかなり信頼できる関係になれなくてはいけないし、簡単に脱退できるような人間関係だと困るという状況でした。
なので、ユナイテッドの場合は、元々の人的関係があって、お互いが尊敬をもって接することができる会計士同士が、お互いの仕事を高めあって、お互いがやりたいことを達成するためにファームを組成するという必要がありました。これにより監査法人の設立が遅れることとなりましたが、ファウンダーパートナーとしては、仕組みの前に人的に固まった状態だと理解しています。
私はどちらにも優劣はないと思っています。税理士法人でももしかしたら、人的関係の強さが必要なのかもしれませんが、私は監査法人のことをすごく意識していたというだけなので、そこは一緒かもしれません。
そういう意味では前者では共同事務所の形態がいいのかもしれません(税理士法は共同事務所なしでしたっけ?会計士法はありなんですが)
会計士・税理士であろうが揉める原因はお金の配分なはず
基本的にパートナーシップが揉めるのは、お金の配分だというのが世の中で言われていて、そうなのだろうということは予想がつきます。
考え方としては、給与という形で最初から等分にするという考え方もあると思います。パートナーが増えてもパイを増やしていって、やはり等分にするというところでしょうか。ちょっと本当に拡大してパートナーが増えた時に疑問符が付きますが、パートナー数が限定的である限りは機能すると思います。特に人的関係が構築されているのであれば、有効かと思います。
ユナイテッドのパートナーシップでは、設立時に利益配分についてかなり厳密に定義を行いました。わかりやすく言うと、仕事をとってくると利益配分される、仕事を達成すると利益配分される、事務所には将来への投資分としての利益を残すというコンセプトです。
この利益配分は、すごくパートナー間の格差がでる可能性がありますが、私は資本主義の世界の番人としての社会的使命を持つ公認会計士としては、資本主義の原理に最も近いこの仕組みが最もしっくりくると感じています。
ちょっとだけ詳細に踏み込むと、各EngagementごとにそのEngagementを取ってきたパートナーが10%~20%くらいのパイをいきなり持っていきます。その後、例えば直接人件費や直接経費を引いて、さらにオフィス全体の間接費を引っこ抜いた残りを関与したパートナーがパイの取り分を協議して決める、というイメージです。Loss engagementなどの対応も一応設計済みなのと、それぞれが全力を尽くすための仕組みも設計として考えています。
正直、このProfit shareの計算シートは私が作ったのですが、複雑化しすぎてて、運用が結構大変だったりします。それでも、後々に揉めないようにするために、仕組みをみんなで合意して、全員がインセンティブをもって、ファームに貢献するために、頑張って運用しないといけないと思っています。
なお、この制度設計を行う際に参考にした書籍は「ひとり2000万円稼ぐ会計事務所の作り方」です。
どちらかというと、従業員である税理士や税理士科目合格者などのインセンティブ構築の観点のほうが強い記述ではあったのですが、パートナーとしてのインセンティブの話にも触れられていて、とてもよくできているなと思ったので、コンセプトを利用させて頂きました。
まとめ
持っている仕事や得意分野の被りなどはまったく意識してなかったです。あえて言うなら、私としては自分が苦手な税務ができる人がパートナーシップにいて欲しいなぁというのはあったのかもしれませんが、結構最初の段階でパートナーとなることが決まった人の中に税務メインの会計士がいたので、気にしなくてよかったというだけな気がします。
私としては
- 人的関係がうまくいくか(2番次第ではこれは気にしない可能性もある。
- 利益配分がきっちりと設計されているか
この2点だと思います。特に2番は結構真剣に仕組み作りをしました。
今後独立されていく会計士・税理士の方々で詳しい仕組みなどに興味があれば、コンタクトしていただければ共有できると思います。